再建築不可物件で増築が難しい理由とは|2025年4月建築基準法改正も要注意!
記事公開日
最終更新日 2024年5月27日
再建築不可物件を所有したり相続したりする予定がある方のなかには、増築リフォームをして活用したいと考えている方もいるかもしれません。しかし、再建築不可物件は建築確認申請が通らないため、基本的に増築は難しいのが実情です。
この記事では、再建築不可物件で増築や改築が難しい理由、2025年4月 に予定される法改正の内容、再建築不可物件の増築を可能にする方法を紹介します。
目次
再建築不可物件とはどのような物件?
まず、前提として再建築不可物件とはどのような物件なのか、なぜ再建築不可になるのかといった基本を確認していきましょう。
既存建物の建て替えができない再建築不可物件
建築基準法第43条第1項 において「建物の敷地は幅員4m以上の道路 に2m以上接していなければならない 」と定められています。これは一般的に「接道義務」 と呼ばれるもので、接道義務を満たさない土地には原則、建物を建てることができません。
接道義務違反の敷地にすでに建物が建っている場合、既存建物を取り壊して建て替えることは不可能です。こうした建て替えができない既存建物を「再建築不可物件」 と呼びます。
既存不適格状態にある再建築不可物件
現時点で接道義務違反だからといって、すでにある建物をすぐに取り壊さなければならないわけではありません。接道義務に違反する建物の多くは、建築基準法が施行されるより前に建てられた築古物件です。新築時点では接道義務に関する規定がなく適法だったため、いわゆる「違法建築物」ではありません。
新築当初は適法だったものの、完成後の法改正によって適法でなくなった建物は「既存不適格物件」と呼びます。既存不適格物件は建て替えや大幅なリノベーションこそできないものの、現状維持で継続使用が可能です。
接道義務違反でも「既存不適格」状態にあると見なされ、「再建築不可物件」として現存するケースも少なくありません。
再建築不可物件や接道義務は、こちらの記事で詳しく解説しています。
再建築不可とは?知っておきたいメリット・デメリット・売買のポイント
接道義務とは?不動産購入で知っておきたい接道義務のイロハ
再建築不可物件で増築・改築が難しい理由
再建築不可物件は建て替えが難しいと紹介しましたが、増改築も難しいのが実情です。なぜ手を加えることができないのか、その理由を解説します。
できることのラインは建築確認申請の要否で決まる
再建築不可物件は増築や大規模なリフォームの実施が難しいものの、ちょっとしたリフォームもすべてできないわけではありません。再建築不可物件で実施できるかどうかのラインは「建築確認申請が必要な行為かどうか」です。建築確認申請を必要とするリフォームは原則認められません。
建築確認申請とは、建物を新築したり増改築工事を行なったりする前に、計画している建築物の設計内容が法令に沿ったものかどうか、チェックを受ける手続きのことです。建築確認申請が通らない場合、法令に沿った計画ではないと見なされ、工事に進むことができません。
建築確認申請の要否のラインと増改築
建築基準法第6条 において、以下のケースでは建築確認申請が必要 と定められています。
- ● 建物を新築する場合(都市計画区域外に建てる4号建築物を除く)
- ● 10㎡を超える増改築を行なう場合(防火・準防火区域外では10㎡以下も対象)
現法に適していない再建築不可物件は建築確認申請に通らないため、そもそも建て替えや10㎡を超える増改築はできません。
リフォームに関しても規定があり、「4号建築物」に該当しない建物で行なう「大規模の修繕または大規模の模様替え」も建築確認申請の対象とされています。
4号建築物 | 建築基準法第6条4号で規定された以下の建築物のこと。 ・平屋もしくは2階建てで高さ13m以下・軒高9m以下・延べ床面積500㎡以下の木造建築物 ・木造以外の平屋で延べ床面積200㎡以下の建築物 |
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大規模の修繕・模様替え | 建築物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段など)のうち一種以上について、過半(1/2超)に 手を加える修繕(模様替え)のこと。 |
4号建築物に認められた「大規模の修繕または大規模の模様替え」の建築確認申請の省略措置を「4号特例」 と呼びます。再建築不可物件も4号特例を適用できるかどうかで、リフォームで実施できることやできないことが変わってきます。
再建築不可でもできるリフォームの具体例
上記を踏まえ、次の項目に該当するリフォームであれば、再建築不可でも実施可能です。
- ● 4号建築物における「大規模の修繕または大規模な模様替え」
- ● 防火・準防火区域でないエリアにある物件における10㎡以下の増築
- ● 主要構造部の1/2以下の修繕や模様替え
なお、主要構造部には床も該当しますが、建築基準法第2条のなかで「最下階の床」は除外 されています。1階部分の床の全面的な張り替えなら、建築確認申請の必要はないため、再建築不可物件でも実施可能です。
再建築不可物件におけるリフォーム可能な範囲については、こちらの記事でも紹介しています。
再建築不可物件とは?購入のメリット・デメリットやリフォーム可能範囲について解説
【2025年4月法改正】4号特例の大幅縮小に要注意!
ここまで見てきたように、従来4号建築物であれば建築確認申請は不要だったため、たとえ再建築不可であっても、大規模修繕や大規模な模様替えが実施可能でした。
しかし、2025年4月の建築基準法改正により「4号特例」の大幅縮小が予定されています。この法改正で、再建築不可物件のリフォームがより困難になると想定されるため、注意が必要です。
予定される法改正のトピックスをまとめると次のとおりです。
- 「4号建築物」が廃止され、新たに「新2号建築物」「新3号建築物」へと見直し
- 「新2号建築物」(木造2階建て・延べ面積200㎡を超える木造平屋建て)は建築確認申請の対象へと変更
- 「新3号建築物」(延べ面積200㎡以下の木造平屋建て)は従来どおり建築確認申請の対象外
木造2階建てが「新2号建築物」に見直されることから、2025年4月以降、多くの住宅で大規模修繕・大規模の模様替えにともなう建築確認申請が新たに必要となります。そのため、大半の再建築不可物件で大規模なリフォームが難しくなるでしょう。
再建築不可物件でも増築する3つの方法
再建築不可物件は原則増築ができませんが、以下3つの方法のいずれかを取ることで増築が可能になります。
(1)セットバックにより道幅を確保する
再建築不可物件の前面道路が幅員4m未満であっても、建築基準法第42条2項に定められたいわゆる「2項道路」の場合、敷地をセットバックして道幅を確保すれば再建築や増築が可能 です。
2項道路とは、接道規定が適用される以前からあった市街地などに見られる幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定したものをいい、「みなし道路」 とも呼ばれます。
セットバックの分だけ土地面積は小さくなってしまうものの、再建築不可でなくなるため、通常の売却もしやすくなるでしょう。
セットバックの手続きや工事の流れの詳細は、以下の記事を参照してください。
再建築不可物件に必要なセットバックの手続き、工事の流れとは?接道義務の概要も解説
(2)43条ただし書き規定の適用を申請する
建築基準法第43条2項で定められた「43条ただし書き規定」 を適用すれば、接道義務を満たしていなくても増築や再建築が可能です。
43条ただし書き規定とは、敷地の周辺に広い公園 があるなどの理由により、防災上特に問題がないと特定行政庁が許可した場合、接道義務を果たしていなくても増築や再建築が認められるという決まりです。しかし、適用を受けるには特定行政庁への申請が必要 であり、実際に適用してもらうのはハードルが高いでしょう。
(3)隣地を購入するか借りる
もう一つは、隣地を購入もしくは借りることで間口を2m以上確保して接道義務を満たし、増築や再建築できる状態にする方法です。
この方法は土地を購入・賃借するコストがかかるうえ、そもそも隣地所有者の同意を得なければならない点が課題です。隣地所有者からすれば、接道部分の一部を売却・賃貸することにあまりメリットはないため、やはりハードルが高い方法といえるでしょう。
再建築不可物件の取り扱いに困ったなら第一土地建物へご相談を
基本的に増築が難しい再建築不可物件でも、増築を可能にする方法はあるものの、いずれもハードルが高いのが現実です。さらに、2025年4月には法改正も予定されており、再建築不可物件の所有者は今後ますます扱いに困る可能性があります。
扱いに困っている再建築不可物件があるときには、幅広いノウハウを有する専門買取会社に依頼して買い取ってもらうのが得策です。
第一土地建物は「再建築不可物件」の専門家として、年間数十~百件近い再建築不可物件を買い取っています。これまで多くの再建築不可物件を買取した実績があるので、所有する再建築不可物件の取り扱いに不安を感じているなら、ぜひ第一土地建物までご相談ください。
再建築不可物件の買取実績
まとめ
再建築不可物件は建築確認申請に通らないため、建築確認申請を必要とする一定の増築やリフォームの実施は難しいのが現実です。2025年4月には建築基準法改正が予定されており、従来再建築不可物件でも可能だったリフォームも実施できなくなる可能性もあります。
所有する再建築不可物件の処分に悩んでいる方は、法改正前に専門買取会社へ相談するのがおすすめです。
年間100件以上を扱う第一土地建物なら、お客様のご要望に応じた買取プランをご用意いたします。
お問い合わせから引渡しまでの流れ
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