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 袋地と囲繞地の違いとは?基本を押さえて有利な不動産売買を!



記事公開日

最終更新日 2022年4月22日

 

不動産広告などで、ときおり見かける「袋地」「囲繞地」という言葉の意味をご存知でしょうか。言葉自体は聞いたことがあっても、その意味までは知らないという方は多いかもしれません。

 

袋地と囲繞地の関係は、再建築不可物件の売買を考える際に知っておかなければならないポイントの一つです。本記事では袋地と囲繞地の違いや、関連法令に定められたルールについて詳しく解説していきます。この機会に知識を身につけて不動産売買の際にぜひ役立ててください。

 

■袋地とは?

 

袋地と囲繞地の関係を整理する前に、袋地とはどのような土地なのかを確認してみましょう。

 

◇袋地とは公道に通じていない土地

袋地とは、公道に通じていない土地を指します。例えば、以下のように他の土地にドーナツ状に囲まれている土地が代表的です。

 

このように直接道路に出られないことから「無道路地」と呼ばれることもあります。

また、河川や水路・海に遮られている、崖があり公道との高低差が激しいといった特徴がある土地は「準袋地」とされます。

 

◇袋地は「再建築不可物件」の一種

袋地は近隣の道路と接道していないため「再建築不可物件」の一種です。再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務に違反しており、新しく家を建てたり建て替えの際に必要な建築確認申請を通したりすることができません。

 

建築基準法において、都市計画区域・準都市計画区域内の土地は、建築基準法上の「道路」に接道する必要があると定められています。多くの場合、道路とは「幅4メートル以上」の道を指し、道路に2メートル以上接していない場合は違反です(例外規定あり)。この接道義務に違反している場合、家の建て替えなど各種工事が大きく制限されます。

 

袋地であっても、隣地所有者から隣地の貸借や買い取りを行なうことで接道義務違反の状態を解消できる場合もあります。ただし、相応に交渉の手間やコストがかかるため容易ではありません。

 

■囲繞地とは?

袋地とセットで議論に上ることが多いのが「囲繞地(いにょうち)」です。こちらはどのような土地なのでしょうか。

 

◇囲繞地は袋地を取り囲んでいる土地

囲繞地の「繞」には「かこむ・めぐる」という意味があります。袋地が他の土地に囲まれて道路と隔てられている土地であるのに対し、囲繞地とはその名のとおり、袋地を取り囲んでいる土地のことを指す言葉です。

 

袋地は土地の位置関係上、囲繞地を通らなければ道路に出ることができません。

 

◇囲繞地の通行は法律で認められている

袋地に住む場合、周囲の囲繞地のいずれかを通らなければ道路に出ることはできませんが、勝手に他人の土地を通って良いものなのでしょうか。

 

実は、袋地の住人が囲繞地を通行する権利は「囲繞地通行権」で認められています。民法210条で定められているとおり、通行する際に土地の所有者から事前に許可を得る必要もありません。

 

とはいえ囲繞地通行権は、囲繞地の所有者からすれば他人が勝手に自分の土地を通るものにほかなりません。そのため、民法の規定には囲繞地の所有者を保護するためのルールも設けられています。

 

■通行地役権と囲繞地通行権の違い

他人の土地を通行するための権利として代表的なのが「通行地役権」と、袋地の住人が持つ「囲繞地通行権」の2つです。この2種類の権利は何が違うのか、比較しながら確認してみましょう。

 

◇通行地役権と囲繞地通行権の基本

通行地役権と囲繞地通行権は、権利を行使する目的が異なります。囲繞地通行権は袋地の住人が公道に出るために当然に持つ権利であり、日常生活を送るうえでやむなく行使するものです。

 

一方の通行地役権は、生活の利便性を向上させるために他人の土地を通ることを、土地の所有者との合意を経て設定できる権利です。例えば、自分の土地も道路に接道しているが、道が細く大きな道に出るのに不便な場合などに、所有者の許可を得て敷地内を通行できるようにします。

 

◇それぞれの違い

囲繞地通行権と通行地役権には、他にも以下のように細かな違いがあります。

 

【囲繞地通行権と通行地役権の違い】
囲繞地通行権 通行地役権
土地所有者の合意 不要 必要
期間の定め なし 任意で設定
通行料 原則必要※ 任意で設定
通行範囲 必要最小限 任意で設定
第三者への対抗 登記不要 登記が必要
※土地を分割した結果袋地が発生した場合は無償で通行可能

 

囲繞地通行権は、民法で定められた権利のため、囲繞地の所有者は通行を拒否できません。その代わり、通行にあたっては年に一度通行料の支払いが義務付けられています。

 

また、囲繞地通行権は土地の所有者が誰であっても、袋地の住人が当然に保有する権利です。そのため、囲繞地の所有者が変更された場合などで、第三者に権利を主張(対抗)する場合も登記は必要ありません。

 

一方の通行地役権は、土地の所有者との間で任意で設定する権利です。そのため、期間の定めや通行料の有無などは当事者間の合意で決定できます。任意で設定する権利であることから、第三者に権利を主張する場合は法務局への登記が必要です。

 

■袋地や囲繞地を高く売却するには?

 

袋地や囲繞地は、他人との権利関係が発生する性質上「面倒な土地」として買い手から敬遠されることもあります。これらの土地の売却を検討する場合、どうすれば高く売ることができるのでしょうか。選択肢となる手段を2つ解説します。

 

◇隣地を購入してから売却する

まず考えられるのが、隣地を購入し1つの土地としてまとめてから売却することです。袋地を所有している場合、前面道路と接道している囲繞地と合体させれば、接道義務違反の状態を解消できます。

 

囲繞地の持ち主である場合も、隣接する袋地を買い取れば土地の囲繞地通行権の抹消が可能です。隣地の購入によりデメリットを解消できるのであれば、売却価格も高まりやすくなるでしょう。

 

ただし、隣地を購入するには所有者との交渉が必要です。そもそも売ってくれるとは限らないうえ、互いに不動産の知識が少ない場合は価格交渉の難航も予想されます。うまく買い取ることができれば売却価格が上がる可能性は高くなりますが、一方で少々ハードルの高い手段といえるでしょう。

 

◇土地を交換してから売却する

次に考えられるのが、囲繞地と袋地の土地の一部を交換する方法です。囲繞地の接道している部分を袋地の一部に組み込むことができれば、未接道の状態を解消できます。

 

ただし、通常は袋地より囲繞地のほうが土地の価値は大きいものです。そのため、同じ価格でも、袋地の所有者のほうが多く土地を提供しなければならない可能性が高いでしょう。加えて、土地の価値を正確に評価できなければ、不公平な交換になることもあります。

 

また、すでに家が建っており住人がいる状態だと、土地の境界を変更できず交換そのものを断られることも多いでしょう。袋地や囲繞地の売却で悩んだ際は、ノウハウのある買取専門の会社に相談してみるのも一つの手です。気になる方は、不動産会社の土地買取サービスの利用も検討してみましょう。

 

■まとめ

袋地や囲繞地は、権利関係の発生や接道義務に違反していることなどから、一般的な仲介での売却が難しいケースもあります。土地の交換や隣地の売買などでデメリットを解消できる場合もありますが、交渉が難航することも多く個人で問題を解決するには少々ハードルが高いでしょう。

 

このような場合、不動産会社の土地買取サービスを利用することも一つの方法です。囲繞地や袋地は、通常の不動産業者では価値を正しく評価できないことも多いため、訳あり物件の専門会社へ売却することをおすすめします。

 

当社第一土地建物は、再建築不可物件をはじめとした訳あり物件を専門に取り扱っています。他社に断られた物件や、仲介で売却できない物件の買い取り実績も豊富です。お見積りのみのお客様も歓迎しますので、お気軽にご相談ください。

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【著者】 岡村 岳 (第一土地建物 株式会社 代表取締役)

当サイトを運営する第一土地建物株式会社の代表取締役。1982年生まれ。

専修大学法学部卒、株式会社エイビスにてマンション販売事業・戸建仲介事業に従事し、長田商事株式会社を経て2016年に第一土地建物株式会社へ専務取締役として参画。2017年に代表取締役に就任。

関東近郊を中心として、さまざまな条件のついた流通の難しい不動産の扱いに専門知識を持ち、年間100件以上の再建築不可物件に携わる。



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