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 確認申請をしないと建築基準法違反?申請が必要な理由と工事までの流れ



記事公開日

最終更新日 2022年4月25日

 

建築確認申請は、建築物に増築や改築などの工事をする際、必要になる手続きです。建築確認申請の必要性は法律で決まっており、無断で工事をすると処罰の対象となります。

 

では、なぜ工事の際にわざわざ許可を取らなければならないのでしょうか。建築確認申請が必要な理由と、手続きの流れを紹介します。

 

■増築時の建築確認申請とは

 

建築確認とは、建物の工事を行なう際に建物の構造や耐久性、地盤の強度などが、建築基準法の基準に適合しているかをチェックする手続きのことです。そして、建築確認の申請を行なうことを「建築確認申請」と呼びます。一部の建物やエリアを除き、10平方メートルを超えるリフォームや増築の際は申請が必要です。

建築確認の調査は、自治体や民間の検査機関が行ないます。申請自体は工事依頼を受けている設計事務所や工事会社の仕事となるため、依頼主(施主)がすることはありません。

建築確認は通常、着工前の書類確認と完成後の完了審査の2回行なわれますが、各自治体から指定されている建物には、工事の最中に中間検査が入ります。

 

◇増築時に確認申請が必要な理由

 

工事の際に建築確認が必要な理由には、建物の安全性の担保が第一に挙げられます。建築基準法の定める基準に適合しているか否かを確認し、建物の使用者や近隣住民が安心して暮らせるようにするためです。

 

先ほど触れたとおり、基本的には、建築計画作成時と完了後の2回に分けて検査が行なわれ、計画に問題がないか、計画どおりの建築がされたかを確認します。また、施主側も建築確認の通過をもって、法律に適合した建物を建てることができます。

 

◇確認申請を提出しないとどうなる?

 

建築確認は、建物の工事をする際に必要な建築基準法に定められた手続きです。そのため、建築確認の必要な工事で申請を行なわない場合、法律違反となります。

手続きを経ずに着工したことが判明すると、自治体から是正勧告などの行政指導が行なわれます。

その後、確認申請をすれば解決する可能性もありますが、解決・改善が見られなければ、工事の中断や中止を求められる事態になりかねません。行政指導に従わない場合、罰金や懲役など、刑事罰の対象になる可能性があることを把握しておきましょう。

 

■建築確認申請が通らないケースとは?

 

前述のとおり、建築確認で法令基準に適合しないとされた場合、工事はできません。それでは、建築確認に通らないケースをそれぞれ紹介します。

 

◇建ぺい率や容積率の上限を超過する

 

建物の建ぺい率と容積率は、建物の建つエリアによって上限が決まっており、超過すると建築基準法違反となります。

建ぺい率とは、敷地の面積に対し、建物が建築される面積の割合です。一方、容積率は、敷地面積に対する建物の延床面積(すべての階の床面積の合計)の割合を指します。

 

この2点は、建物の建つエリアがどの用途地域(※)に指定されているかによって基準が決まっています。

 

(※)都市計画法に基づき、建築可能な建物の用途などが指定されている地域。用途は住居系、商業系、工業系の3つに大きく分けられる。

 

◇高さ制限を超過する

 

建ぺい率や容積率と同じく、建物の高さにも上限があります。高さが制限されるのは、建物の安全性はもとより、周辺の採光・通風を確保するためです。

「第一種低層住居専用地域」など、一部の住居系用途地域に指定されているエリアでは、建物の高さに10メートルから12メートルの制限が設けられています。これは、木造で3階程度、コンクリート造で4階程度になる高さです。

工事を行なう前に、そのエリアがどの用地地域に指定されているのか、自治体の担当部署に確認することをおすすめします。

 

◇建物が既存不適格物件である

 

現在建っている建物が「既存不適格物件」であり、リフォームなどで建築確認が必要な場合、通過できないことがあります。

既存不適格物件とは、建築時点の法令に適合していても、現行法の基準を満たしていない建築物のことです。建物ができた時点では適法だったため、現在も存在を許されていますが、建築確認では現行法の基準に適合させる必要があります。

 

ただし、自治体によって例外を認めているケースもあるため、自治体の建築担当部署か、地域の施工会社に相談してみましょう。

既存不適格物件についての詳細は以下の記事で紹介していますので、こちらも参考にしてください。

 

既存不適格物件とは?特徴とポイントを押さえて賢く売買しよう!

 

◇異なる工法で増築する建築物

 

既存の建物の工法と、工事で採用する工法が異なる場合も、建築確認を通過できないことがあります。増築の際に既存部分と異なる工法で施工すると、工事部分のつなぎ目に大きな負担がかかるためです。強度に不安が出ることが多いため、工事不可と判定されることがあります。

 

■増築までの流れ

 

実際に増築工事を行なう場合、手続きはどのように進行するのでしょうか。完了検査までの流れを見てみましょう。

 

◇1.リフォーム会社決定

 

まずは、増築工事を依頼する施工会社を探します。自分と似たケースの工事の実績が豊富かどうか、などを基準に数社ピックアップし、見積もりを請求しましょう。

見積もり結果は安ければ良いというわけではありません。なぜその料金なのか根拠を確認し、納得できる施工会社に依頼してください。

 

◇2.増築の計画・確認申請の依頼

 

依頼先が決まったら、どのような増築工事にしたいのか、計画を立てていきます。

おおまかな要望や予算を見積もりの際に伝えているはずなので、ここではより詳細な要望を伝え、プランを作成してもらいましょう。企画と修正を何度か繰り返すため、方針の確定に1ヵ月~2ヵ月程度かかる場合もあります。

計画が確定したら、施工会社が確認申請を行ないます。結果が出るには1週間程度がかかるため、施工開始までは少し間が空くのが一般的です。

 

◇3.増築施工開始

 

確認申請の審査が完了し確認済証が発行されると、実際の増築工事に取りかかります。

 

◇4.完了検査

増築工事が完了したら、完了検査が実施されます。申請内容と工事の内容に相違がないかを確認され、問題なければ工事完了となります。

 

■増築時に行なう確認申請の注意点

建築確認申請を行なう際、物件や工事の内容によって注意点があります。

 

◇確認申請が不要な場合も

 

リフォームを行なう際、面積によっては建築確認が不要な場合があります。具体的に説明すると、10平方メートル以下の増築では、防火地域・準防火地域など一部のエリアを除き確認申請が必要ありません。

その他、用途地域の指定がないエリアでの増築や、建築確認を大幅に省略できる4号建築物のリフォーム(増築を除く)でも、確認申請は不要な場合があります。

 

◇既存不適格建築物では大幅な工事が必要なことも

 

先ほども少し触れましたが、既存不適格物件を工事する際は、現行の基準に適合するよう施工しなければなりません。

そのため、増築をする際に建物の既存部分に手を入れる必要が出るなど、工事が大がかりになることもあります。予算が限られている場合、その旨も併せて施工会社に相談しましょう。

 

■まとめ

 

住宅を工事するにあたり、建築確認申請の手続きは避けては通れません。通常、工事を依頼する施工会社や建築事務所が手続きを行なうため、施主がやることは特にありませんが、簡単に流れを覚えておくと、工事の流れやスケジュールを把握しやすくなります。

 

また、住宅が既存不適格物件の場合など、建築確認申請の手続きに不安があるときは、最初に見積もりを依頼する際、施工会社に相談することをおすすめします。古い住宅のリフォームに知見のある会社を見つけられれば、安心して工事を任せられるでしょう。

 

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【著者】 岡村 岳 (第一土地建物 株式会社 代表取締役)

当サイトを運営する第一土地建物株式会社の代表取締役。1982年生まれ。

専修大学法学部卒、株式会社エイビスにてマンション販売事業・戸建仲介事業に従事し、長田商事株式会社を経て2016年に第一土地建物株式会社へ専務取締役として参画。2017年に代表取締役に就任。

関東近郊を中心として、さまざまな条件のついた流通の難しい不動産の扱いに専門知識を持ち、年間100件以上の再建築不可物件に携わる。



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