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 未登記建物を所有・相続するリスクとは?登記の流れや費用も解説



記事公開日

最終更新日 2024年3月18日


  
建物を取得した際の登記申請を行なっていない「未登記建物」は、実は数多くあります。しかし厳密には違法であり、さまざまなリスクを抱えていることも事実です。
 
この記事では、未登記建物の概要や所有するリスク、登記手続きや費用について解説します。相続などで未登記建物の所有者となり、今後の扱いについてお困りの方はぜひ参考にしてください。
  

未登記建物の概要

未登記建物の概要と、実際に未登記建物であるかどうかを確認する方法について解説します。
 

「未登記建物」とは?

「未登記建物」とは、法的に義務付けられている登記手続きをしていない建物のことです。
 
不動産登記法47条では、建物の取得から1ヵ月以内に、建物の構造や種類など、表題登記と呼ばれる登録が必要であると定められています。
また、登記義務を怠ると、不動産登記法164条によって10万円以下の過料に処するとされています。
 
しかし、古い建物のなかには未登記のまま使用されているものも多く存在し、実際に過料されるケースはあまりないのが現状です。
そのため、売却手続きや相続手続き、融資の申し込みなどの際に未登記建物だったことが判明するケースもあり、思わぬトラブルに発展するおそれもあります。
 

未登記建物であるかどうかを確認する方法

当該の建物が登記されているかどうかわからない場合、以下のいずれかの方法で確認できます。
 
・固定資産税・都市計画税納税通知書で確認する
 
例年4月頃に送られてくる「固定資産税・都市計画税納税通知書」 に「未登記」の記載がある場合は、未登記建物である可能性が高いでしょう。また、納税通知書に同封されている課税明細書の「家屋番号」の欄に 記載がない場合も同様です。
 
ただし、納税通知書を発行する自治体側のミス(記載漏れなど)の可能性もあるため、この方法だけで断定するのは避けたほうがよいでしょう。
 
・役所や市税事務所で確認する
 
手元に固定資産税・都市計画税納税通知書 がない場合は、役所で閲覧できる「固定資産課税台帳」 や、市税事務所で取得できる「家屋公課証明書」 に家屋番号が記載されているかを確認しましょう。
 
なお、いずれの書類も、閲覧・取得できるのは建物の所有者(納税義務者)、同居家族、代理人などの制限があります。
 
・法務局で確認する
 
制限なく誰でも可能な確認方法は、法務局で「全部事項証明書」 の取得申請を行なう方法です。「全部事項証明書」 が存在せず取得できない場合、未登記建物であることがわかります。

  

未登記建物を所有・相続するリスク

 

 
建物を未登記のまま放置することで法的処置がとられることはほとんどないものの、未登記建物を所有・相続するリスクは存在します。
 

固定資産税の軽減措置を受けられない

土地に建物が建っていて登記手続きをしている場合、例えば小規模住宅用地であれば、固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1まで減税されます。
しかし建物の登記をしていない未登記建物の場合、通常受けられるはずの軽減措置が適用されず、必要以上の税金を支払っている可能性があるのです。
 
ただし実際には、自治体が行なう実地確認によって、未登記建物のままで軽減措置が適用されているケースも存在します。
 

担保の価値がなく融資を受けられない

住宅ローンなどの融資を受けるのが困難なことも、未登記建物の大きなリスクといえるでしょう。
通常、融資を受けるためには、不動産を担保にすることが一般的です。しかし未登記建物のままでは、抵当権の設定が不可能なため、担保の対象として認められず、融資を断られてしまいます。
 

売却の条件が厳しくなる

未登記建物は、売却を検討する際にも以下のようなリスクがあります。
 
・売却のタイミングを逃すおそれがある
 
未登記建物を売却するためには、まずは売り主が現状を正しく登記申請したうえで、買い主へ所有権を移転する必要があります。
その分、通常の売却よりも手続きが多く時間もかかるため、良い条件で売却するチャンスを逃すことになるかもしれません。ただし、契約成立後すぐに建物を解体することが決まっているときなど、未登記建物のままで売買が行なわれるケースも場合によってはあります。
 
・購入者が限定される
 
前述したように、未登記建物は、現状のまま売却することも不可能ではありません。
しかし担保としての価値がないことは変わらないため、買い手は現金で購入できる人に限定されてしまいます。このような事情から、購入希望者が現れても、売買契約が成立しないこともあるでしょう。
 
・買い主が軽減措置を受けられない
 
税金の軽減措置が受けられないことも、未登記建物の売却を難しくしている要因の一つです。しかし、なかには不動産業者など、未登記建物のままで買い取ってくれる相手が見つかる可能性はあるでしょう。
 

第三者へ建物の所有権を主張できない

建物を登記していないということは、実際にその建物に暮らしているなどの事実があっても、いざというときに所有権を主張できません。
例えば、借地に建てた建物が未登記のままだと、土地の所有者に立ち退きを求められても対抗できません。
 
相続や売買などで土地の所有者が変わることで、このようなトラブルが起こるリスクは十分に考えられるため注意が必要です。
 

相続手続きが複雑化する

未登記建物の所有者が亡くなると、登記義務は相続人へ移行します。
相続した未登記建物を売却したりリフォームしたりする際には、相続人による登記手続きが必要です。
 
それまで未登記だった建物を登記するための必要書類は、紛失されていることも少なくないため、あらためてそろえるのに苦労することもあるでしょう。
  

未登記建物を登記する流れと費用

 

 

未登記建物の登記手続きは、必要書類をそろえられれば、個人で行なうことも不可能ではありません。
しかし専門的な知識が必要で時間もかかるため、必要書類の作成や申請代行などを専門家に依頼することが一般的です。
 
ここでは、未登記建物を登記するまでの大まかな流れと、かかる費用の目安について解説します。
 

未登記建物を登記する流れ

1. 遺産分割協議書の作成(相続が発生している場合のみ)
未登記建物が相続財産の場合、誰の名義で登記するかを相続人全員で話し合い、同意したことを示す遺産分割協議書を作成します。
 
2. 建物表題登記の申請をする
表題登記は、建物の所在・構造などを登録するもので、法的に義務付けられています。
相続した未登記建物の場合、表題登記の名義人は、相続人でも被相続人でも構いません。
 
3. 建物所有権の保存登記を申請する(権利部登記)
法的な所有者を明確にするためには、表題登記に続いて所有権保存登記も行ないましょう。
相続した建物の場合、新たな所有者となる相続人の名義を登録するのが一般的です。
 

未登記建物の登記にかかる費用

未登記建物を登記するためには、登記に必要な書類や図面の作成依頼費用、登記申請代行費用、登録に必要な税金などがかかります。
税金以外は、依頼する範囲によっても金額は大きく異なります。
 
・遺産分割協議書 作成費用
遺産分割協議書 に記載する内容が確定しており、戸籍などの資料もそろっている場合には、数万円程度で行政書士に作成を依頼できます。
相続人調査や財産調査が必要な場合には費用が上乗せされ、10万円弱かかることもあるでしょう。
 
さらに、相続人のなかに協議に協力的でない人がいるなど、話し合いが難航しそうな場合には、あらかじめ弁護士に依頼しておくという方法もあるでしょう。このような場合には、費用は数十万円かかるケースも珍しくありません。
 
・土地家屋調査士 への依頼費用
表題登記に必要な建物図面などを紛失している場合は、土地家屋調査士 に依頼して作成してもらう必要があります。
図面作成を依頼すると、登記申請も併せて行なってくれることが一般的で、費用の目安は10万円前後です。
 
・司法書士への依頼費用
表題登記申請の書類作成や代理申請手続きは、司法書士へ依頼でき、費用の目安は2万~3万円です。
 
・登録免許税
登録免許税は、登記申請時に必要な実費であり、専門家に依頼せず個人で申請する場合にも、同様の金額がかかります。
表題登記の際は不要ですが、所有権保存登記の際には、不動産評価額の0.4%が必要です。
  

まとめ

未登記建物を所有・相続することは、さまざまなリスクを抱えることになります。
税金の軽減措置が適用されなかったり、売買や相続の際にスムーズにいかなかったりすることも考えられるでしょう。

特にリフォームや売却を考えている未登記建物を所有している方は、早めに登記手続きを行なうことをおすすめします。
また、今後活用予定がない建物であれば、未登記のまま買い取ってくれる不動産会社などを探すのもよいでしょう。

第一土地建物株式会社 では、再建築不可物件をはじめとする、さまざまな課題を抱えた物件を積極的に買い取る専門業者です。未登記物件の買い取り実績もありますので、お気軽にご相談ください。

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【著者】 岡村 岳 (第一土地建物 株式会社 代表取締役)

当サイトを運営する第一土地建物株式会社の代表取締役。1982年生まれ。

専修大学法学部卒、株式会社エイビスにてマンション販売事業・戸建仲介事業に従事し、長田商事株式会社を経て2016年に第一土地建物株式会社へ専務取締役として参画。2017年に代表取締役に就任。

関東近郊を中心として、さまざまな条件のついた流通の難しい不動産の扱いに専門知識を持ち、年間100件以上の再建築不可物件に携わる。



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