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 共有私道でも接道義務は満たせる?共有地に接する物件の注意点も解説



記事公開日

最終更新日 2024年3月18日

  

再建築工事など、不動産物件の活用範囲に大きな影響がある「接道義務」。
 
特に、私道に接している物件では、接道義務を満たしているかどうかわかりにくいこともあるでしょう。私道は共有地であることも少なくないため、個別の状況をよく確認することが重要です。
 
本記事では、再建築の要件でもある接道義務と道路の種類に関して、特に共有私道に接する物件のケースを注意点も含めて詳しく解説します。
  

接道義務と道路の種類

敷地や建築物など、不動産物件の活用を検討する際に、切り離せない問題として「接道義務」があります。接道義務を満たしているかどうかは、物件の所有者によって大きな問題です。
  

接道義務の概要

 
建築基準法第43条で定められた接道義務とは、建築物のある敷地に対し、原則として以下の要件を求めるものです。
 
・建築基準法の定める幅員4m以上の道路に2m以上接していること
 
この要件を満たせない土地では、既存の建築物を解体し再建築することが認められないなどの規制があるため、物件の資産価値や今後の活用方法に大きく影響します。
 
ただし、接道義務には例外があり、道路が造られた時期や周囲の状況などによっては再建築が可能です。また、土地の条件を改善して、あとから接道義務を満たすこともできます。
 
接道義務については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。例外となる道路の種類や、あとから接道義務を満たす方法なども紹介していますので、併せて参考にしてください。
 
接道義務とは?不動産購入で知っておきたい接道義務のイロハ
  

道路の種類は接道義務に影響がある?

接道義務を考えるにあたり、敷地が接する道路の種類についても確認しておきましょう。
 
道路は所有者によって「公道」と「私道」に分類でき、おもに以下のような違いがあります。
 
● 公道
国や自治体が所有する道路を総じて「公道」と呼びます。誰でも許可なく通れる一方で、道路交通法が適用されるため、車やバイクの運転には免許証が必要です。
 
● 私道
個人や特定の団体などが所有する道路のことを指します。公道との大きな違いは、所有者の権限で通行が制限される可能性があることです。また、道路交通法は適用されません。
 
敷地が接する道路の種類が、接道義務に直接影響を与えることはありません。私道であっても、幅員が4m以上あり「法律上認められた道路」であれば、2m以上接している敷地には再建築も可能です。
 
「法律上認められた道路」とは、私道の場合「位置指定道路」または「5号道路」などと呼ばれる道路が該当します。そもそも、接道義務を満たすことを目的に造られているため、隣接する多くの敷地で再建築が可能です。
 
ただしなかには、あとから接道義務を満たすための工事が必要になるケースもあるため、個別の条件を確認しましょう。
 
私道であり、法律上認められた道路でもある「位置指定道路」については、以下の記事でも詳しく解説しています。
 
再建築不可になる位置指定道路とは?再建築を可能にするための方法もご紹介
 
また、私道は共有地であることも珍しくないため、別途状況を確認する必要があります。共有私道については次項で解説します。
  

共有私道でも接道義務を満たせるか

 

 
国や特定の自治体が所有する公道とは異なり、私道は共有地であることも珍しくありません。共有地である私道に接する敷地は、接道義務を満たせるのでしょうか。
 

共有私道とは

 
一筆(※)の道路に対して、複数の所有者が存在する私道を「共有私道」と言います。
※筆:登記上の土地(道路を含む)の単位
 
共有私道は、複数の所有者がどのように所有権を分け合っているかで以下の2種類に分けられます。
 
● 共同所有型私道
一筆の私道を複数の所有者で共有している状態です。一般的には、私道に接する建物の数に応じて所有権を等分することが多いでしょう。
 
例えば、5戸の住宅に接している私道の場合、5人の所有者が1/5ずつ所有権を分け合います。
 
● 相互持合型私道
私道そのものを所有者の人数に合わせて分筆し、各自が所有権をもっている状態です。前述の例のように、5戸の住宅に接している私道の場合は5筆に分け、1筆につき1人の所有者が存在します。
 

共有私道に接する土地の接道義務

 
敷地が接している道路が共有私道だとしても、直接的に接道義務の要件を妨げることはありません。共有地ではない私道と同様に、接道義務を満たせば再建築も可能です。
 
ただし、共有私道に接している物件ならではの懸念点もあるため、活用方法を考える前に確認しておく必要があるでしょう。
 
次項では、共有私道に隣接する物件ならではの注意点について解説します。
  

共有私道に隣接する物件の注意点

 

 

共有私道に接する物件は、要件を満たせば再建築も可能です。
 
しかし、共有地ではない私道とは異なる注意点があるため、事前に知っておく必要があるでしょう。
 

共有私道の状況判断が難しい

 
共有私道は現地の見た目だけでは、そもそも共有私道であるかどうかの判断がつきません。仮に、共有私道ということがわかっても、一筆の所有権を共有している「共同所有型私道」なのか、分筆して所有権ごと分け合う「相互持合型私道」なのかはわかりません。
 
私道が共有地であるかどうか、また複数の所有者の持分状況といった情報は、以下のような手順で取得できます。
 
1. 登記所で公図を取得する
 
法務局やその支局・出張所などで、公図と呼ばれる図面を取得します。
 
公図は地図とは異なり、登記された土地ごとの筆界が示されていることが特徴です。例えば、外観上は1つに見える私道でも、分筆されている場合、公図上には境界となる線が存在します。
 
また、公図には地図上の住所を表す番地とは異なる「地番」が筆ごとに割り振られており、分筆された私道にはそれぞれの地番が存在します。
 
2. 公図の地番から登記簿を取得する
 
登記簿は、不動産の所有者などを確認できる書面で、公図と同様に法務局で取得可能です。
 
なお、登記簿の取得には公図で確認した地番が必要になります。分筆された私道の場合は、すべての地番の登記簿をそれぞれ取得しましょう。
 
このように、登記簿などを見なければ、私道の所有者や持分状況はわかりません。
 

再建築などの際には共有私道の所有者全員の許可が必要

 
私道に接している敷地の場合、実は接道義務を満たしているだけでは再建築工事を行なえず、接する私道の所有者全員からの許可が必要です。そのため、複数の所有者がいる共有私道の場合は、特に労力がかかるかもしれません。また、場合によっては交渉がうまくいかないケースも考えられるでしょう。
 
なお、私道所有者の許可は、接道義務を満たすために行なうセットバック工事などでも必要です。

  

共有地に接道する物件にお悩みなら専門業者への相談がおすすめ

 
これまで解説したように、共有私道に接する物件を活用するためには確認事項が多く、個人での対応は難しいケースもあるでしょう。
 
見慣れない図面を取得して情報を得たり、複数の所有者と交渉したりするのは労力や時間がかかるうえに、思うように進まないことも考えられます。
 
そういった場合、再建築不可物件を専門に扱う不動産業者は接道義務にも詳しいため、共有私道に接する物件の扱いを相談するのがおすすめです。
 
第一土地建物株式会社は、お持ちの物件がそもそも接道義務を満たしているのか、また現状を改善して再建築可能にできるのかどうかなどの調査も可能です。私道に接している物件についても、お気軽にご相談ください。
 
 

まとめ

 
接道義務は、不動産物件の活用にあたって確認が必要なポイントです。
 
私道に接している物件の場合、接道義務の要件に特別な条件が加えられることはないものの、再建築工事などの際には所有者全員の許可が必要です。私道は共有地であることも多く、複数の所有者が存在するケースも珍しくありません。
 
個人で私道の状況を確認したり、所有者と交渉したりするのが困難な場合には、接道義務に詳しい不動産業者に相談するとよいでしょう。
 
第一土地建物株式会社は、再建築不可物件を専門に扱う不動産会社です。接道状況の確認や、私道に接する物件に関するご相談も、喜んで承ります。以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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【著者】 岡村 岳 (第一土地建物 株式会社 代表取締役)

当サイトを運営する第一土地建物株式会社の代表取締役。1982年生まれ。

専修大学法学部卒、株式会社エイビスにてマンション販売事業・戸建仲介事業に従事し、長田商事株式会社を経て2016年に第一土地建物株式会社へ専務取締役として参画。2017年に代表取締役に就任。

関東近郊を中心として、さまざまな条件のついた流通の難しい不動産の扱いに専門知識を持ち、年間100件以上の再建築不可物件に携わる。



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