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 建築基準法における床面積とは?不算入となる部分についても徹底解説



記事公開日

最終更新日 2022年4月25日


 
「床面積」という言葉を聞いたことがあっても、実際にどこまでの面積を含めるものなのか、わからない方も少なくないでしょう。
 
実は「床面積」という言葉が示す意味は複数存在し、それぞれ定義が異なります。床面積を計算する際には、指定された部分を除外することが必要です。
 
本記事では、建築の現場で使用される3種類の「床面積」の意味を詳しく解説します。また、不算入となる部分も具体例を挙げています。「床面積」が表す意味を理解しておきたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

建築基準法における床面積とは

 

 
建築の現場で使われる「床面積」とは、以下3種類の床面積を総称する言葉です。
 
● 法定床面積
● 施工床面積
● 容積対象床面積
 
それぞれの床面積が表す意味を詳しく解説します。
 

法定床面積

 
法定床面積とは、建築基準法で定められた算定方法によって求められる床面積です。
建築基準法施行令第2条では、床面積を以下のように算定します。
 
“建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。”
 
建築基準法では、さらに建物外部の設備など法定床面積として算入しないことを指定しています。
法定床面積に算入されない部分の詳細は、次項で解説します。
 
複数階の建物において、各階の法定床面積を合計したものは「法定延床面積」と呼ばれ、建築確認申請や登記申請、売却などを行なう際に用いられる公的な数値となります。
 

施工床面積

 
施工床面積とは、施工会社が実際に工事を行なうすべての部分を含む面積を意味する言葉です。
前述した法定床面積には算入されない外部設備なども、施工を行なう場合は施工床面積として計算されます。
 
そのため、法定床面積よりも施工床面積のほうが大きくなることが一般的で、特に外部設備が多い集合住宅などは、その差が開きやすいでしょう。また、建物が大きくなるほど、法定床面積と施工床面積の差が大きくなる傾向があります。
 
建築基準法によって算定方法が決められている法定床面積に対し、施工床面積の計算方法は特に定められていません。そのため、同じ建物であっても、施工会社によって異なる数字が出ることも珍しくないのが大きな特徴です。
 
工事の設計者は施工業者に設計意図を正しく伝えるために設計図書を作製しますが、その設計図書には施工面積が記載されることがあります。
 

容積対象床面積

 
容積対象床面積とは、建築物の容積率を求める際に使用する床面積を意味します。
 
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合を示すものです。
容積率は用途地域によって制限があり、基準を超えない範囲の容積率において建築物を建てることが求められ、以下の計算方法で算出されます。
 
容積率(%):延床面積(㎡)÷敷地面積(㎡)×100
 
延床面積は、一般的には各階の法定床面積の合計(=法定延床面積)です。
しかし、容積率を求める際には、指定された部分の面積を除外した延床面積が用いられます。法定延床面積から指定された部分の面積を除いたのが、容積対象床面積です。
 
● 法定延床面積:各階の法定床面積の合計
● 容積対象面積:法定延床面積-容積率の計算上算入しない部分の面積(容積率を計算する際の延床面積)
 
容積対象床面積は、建築確認申請が通った物件の概要を示す「建築計画概要書」 に記載されます。

 

法定床面積・容積対象床面積に含まれない部分

 

 
先述のとおり、法定床面積および容積対象床面積は、それぞれ算入対象外となる部分が存在します。
それぞれの面積に含まれない部分を詳しく解説します。
 

法定床面積に含まれない部分

 
法定床面積は、以下の外部設備は算入しません。
 

・玄関ポーチ

 
玄関ポーチは、庇(ひさし)や屋根の下に設けられることが一般的です。
手すりや外壁などに囲まれていない外部設備のため、法廷床面積には含まない部分とされています。
 

・バルコニー/ベランダ

 
バルコニーやベランダも、基本的には法廷床面積として算入されません。
例外として、奥行(外壁からの距離)が2mを超える部分の面積は算入対象です。
 

・出窓

 
出窓は、以下の条件を満たす場合、法定床面積に含みません。
 
● 床面から30cm以上の高さにあること
● 外壁面からの出幅が50cmに満たないこと
● 見付け面積(風を受ける面積)の1/2以上を窓が占めていること
 

・外部廊下/階段

 
建物の外に設置する外部廊下や階段は、基本的に法定床面積として算入しません。
外部階段は、以下を満たしていることが不算入の条件です。
 
● 階段に設置された手すりや壁から天井まで1.1m以上の高さがあること
● 天井までの高さの1/2以上、外気に有効に開放されていること
● 外部に開放されている部分の長さが、外部階段の周長の1/2以上あること
 

ロフト

 
「小屋裏収納」と呼ばれるロフトは、建築基準法において以下の条件を満たす場合、法定床面積に含まれません。
 
● ロフトの床面から天井までの高さが1.4m以下であること
● 固定式のはしごを取り付けないこと
● ロフトの面積は、ロフトを設置する階の床面積に対して1/2未満であること
 

◇容積対象床面積に含まれない部分

 
容積率を算出する際に用いる容積対象床面積は、法定延床面積から以下の部分を不算入としています。
 

・原則的に不算入となる設備

 
容積率を計算する際に原則的に除外されるおもな施設は、以下のとおりです。
 
● 共同住宅の共用廊下
● 共同住宅の屋内階段(エントランスホール、エレベーターホールを含む)
● エレベーターのシャフト(昇降路)部分
 
共用住宅の廊下や階段は、屋内に設置されていても容積率の算入対象外となります。
 
また、法改正で新たに追加されたエレベーターのシャフト部分は、建築物の用途に制限がありません。そのため、住宅だけでなく店舗や倉庫などに使用する建物も、容積率を計算する際に算入対象外となります。
 

・駐車場/駐輪場

 
駐車場や駐輪場は、該当部分を含めた全体の延床面積に対して1/5の範囲内なら、容積率の算入対象外です。
駐車場や駐輪場の面積が1/5を超えた場合、該当部分のみ、算入対象として計算します。
 

・住宅の地下室

 
住宅の地下室は、以下の条件を満たしている場合、容積率の算入対象外となります。
 
● 住宅としての用途で使用すること
● 地盤面から高さ1m以下に地下室の天井があること
● 建物全体の床面積に対して1/3以下であること
 
住宅の用途には、マンションなどのトランクルームや機械室も含まれます。
なお、地下室の面積が1/3を超える場合、該当部分のみ、容積率の算入対象となります。

 

まとめ

 
建築における「床面積」は、以下3つの意味があります。
床面積を算入する際に対象外となる部分は、建築基準法によって指定されています。
 
法定床面積・建築基準法で定められた算定方法によって求められる床面積
(各階の法定床面積の合計:法定延床面積)
 
・玄関ポーチやバルコニーなどの外部設備は算入対象外となる
施工床面積 ・施工を行なうすべての部分の床面積
・算定方法の決まりがない(業者によって数字が異なることも)
・一般的に法定床面積よりも大きくなる
容積対象床面積 ・容積率を求める際に用いられる床面積
・法定延床面積から算入対象外となる駐車場や地下室などの面積を引いたもの
 
不動産の契約を行なう際は、どちらの床面積を示しているのかを理解することが重要です。不明瞭な点があるときは、事前によく確認しましょう。
 

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【著者】 岡村 岳 (第一土地建物 株式会社 代表取締役)

当サイトを運営する第一土地建物株式会社の代表取締役。1982年生まれ。

専修大学法学部卒、株式会社エイビスにてマンション販売事業・戸建仲介事業に従事し、長田商事株式会社を経て2016年に第一土地建物株式会社へ専務取締役として参画。2017年に代表取締役に就任。

関東近郊を中心として、さまざまな条件のついた流通の難しい不動産の扱いに専門知識を持ち、年間100件以上の再建築不可物件に携わる。



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