再建築不可物件の救済措置とは?おすすめの活用法などを紹介
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最終更新日 2024年11月25日
そのままでは建物の建て替えが難しい再建築不可物件ですが、所有者のなかには「できればそのままの形で残しておきたい」という方もいるでしょう。このような場合に、再建築不可物件の救済措置となりうるのが「建築基準法第43条ただし書申請」です。
この記事では、建築基準法第43条ただし書申請の概要を踏まえつつ、救済措置の詳細や具体的な手続きの流れについて解説します。また、ただし書申請以外の救済措置や、再建築不可物件のおすすめ活用法も紹介するので、ぜひご一読ください。
目次
再建築不可物件の救済措置となる「建築基準法第43条ただし書申請」
再建築不可物件を再建築可能にする手続きが「建築基準法第43条ただし書申請」です。では、具体的にどのような手続きなのか詳しく確認していきましょう。
◇建築基準法第43条とは
都市計画区域内に位置する土地は、計画的な街づくりや、緊急車両の進入などの観点から、土地の接道義務についてのルールが設けられています。この規定を設けているのが、建築基準法第43条です。
通常、都市計画区域内に位置する土地は「幅4メートル以上の道路」に「2メートル以上」接している必要があります。再建築不可物件の建て直しができないのは、土地が接道義務に違反しており、建築許可が出ないためです。
接道義務違反の土地としては、以下のような例が代表的です。
【接道義務違反の土地の例】
● 土地が接している道が道路法上の道路ではない
● 他の土地にドーナツ状に囲まれており道路に接していない
● 道路に接している距離が2メートル未満
ただし、接道義務についての規定には一部例外が存在します。その例外が、再建築不可物件の救済措置となる「建築基準法第43条ただし書申請」です。
◇救済措置の詳細
建築基準法第43条のただし書では、大まかにいえば、以下の2つの要件にあてはまる場合、例外的に再建築を認めると規定されています。
【第43条2項一号】
建築基準法上の道路ではない幅4メートル以上の道に2メートル以上接する建築物のうち、用途や規模が国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上および衛生上支障がないと認めるもの
【第43条2項二号】
敷地の周囲に広い空地があるなど、国土交通省令の基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上および衛生上支障がないと認めて、建築審査会の同意を得て許可したもの
参照:建築基準法 | e-Gov 法令検索
以上の要件は個人で勝手に判断することはできず、所定の手続きを経て、再建築しても問題ないと認定・許可された場合のみ、建築確認申請を行なうことができます。
再建築不可物件の救済措置を受ける流れ
では、再建築不可物件の救済措置である「建築基準法第43条ただし書申請」を行なうには、どのような手続きを行なえば良いのでしょうか。具体的な手続きの流れと、必要書類について解説します。
◇救済措置の申請に必要な書類
建築基準法第43条ただし書申請は、必要書類をそろえたうえで、市区町村の建築関連部署に対して行ないます。具体的な必要書類は以下のとおりです。
【建築基準法第43条ただし書申請に必要な書類の例】
● 公図
● 全部事項証明書
● 周辺現況図
● 配置図
● 敷地・建物求積図
● 平面図
● 立面図
● 現場写真 など
なお、申請が通る見込みがあるか、どの書類の添付が必要かなどは、土地の状況や自治体によって異なります。手続きに不慣れな方のほうが多いと思いますので、各市区町村の建築関連部署へ事前相談することをおすすめします。
認定・許可されるまでの流れ
市区町村への事前相談から、申請が認定・許可されるまでの一連の流れは以下のとおりです。
1.市区町村の建築関連部署への事前相談
2.認定・許可申請書を作成し提出
3.建築審査会による審査(二号の場合)
4.認定・許可通知
最初の事前相談は任意のため、いきなり申請書を提出しても受理してもらえます。しかし、申請手続きを自分で行なう場合、手続きの流れや必要書類などをしっかりと確認しておくことが必要です。そのため、可能であれば事前に相談し、書類の準備や手続きにかかる時間について確認しておくようにしましょう。
なお、申請から認定・許可通知までにかかる期間は、地方自治体によって異なります。場合によっては一ヵ月以上かかることもあるため、期間に余裕を持ち、早めに相談に行くようにしてください。
再建築不可を可能にするその他の救済措置5選
再建築不可物件を再建築可能にする場合、先述の建築基準法第43条ただし書申請のほか、以下のような救済措置があります。
● 隣地を購入する
● 隣地の一部を借用する
● 土地の等価交換を行なう
● セットバックを行なう
● 道路の位置指定申請を行なう
それぞれ詳細をまとめました。
関連リンク:再建築不可物件を再建築可能にする抜け道・裏ワザとは?
隣地を購入する
再建築不可物件は、接道義務に違反していることが問題ですが、隣地の一部もしくは全部を購入することで、接道義務を満たすことができる場合があります。
例えば、道路に接している土地の間口が、現状1.5メートルしかない場合、不足分の0.5メートルを購入すれば、接道義務の要件をクリアすることが可能です。当然ながら購入費用はかかりますが、再建築可能になるうえ、敷地も広くなります。
ただし、あらかじめ隣地所有者と交渉して承諾を得る必要があるため、相手の心理や関係性などを考慮しなければなりません。
隣地の一部を借用する
金銭的な事情から隣地の購入が難しい場合、接道義務を満たせる分だけ土地を借りるという方法もあります。借用によって通行権を取得すれば、所有していない土地でも接道義務の要件をクリアできるためです。
再建築可能になった時点で借りていた土地は返還できるので、購入に比べるとハードルは低いといえます。ただし、こちらも隣地所有者との交渉が必須です。
また、土地を借用する際はトラブルを避けるため、交渉後に「土地賃貸借契約書」を作成することも重要になります。
土地の等価交換を行なう
土地の等価交換とは、接道義務を満たすために隣地所有者から土地を譲り受ける代わりに、自分の土地の一部を譲り渡す方法です。現状、この方法は「旗竿地」を所有している方のみが対象となります。
例えば、旗竿地の竿にあたる部分の長さが10メートル、間口が1.8メートルの場合、間口を0.2メートル広げると接道義務を満たすことができます。そのために、0.2メートル×10メートル=2平方メートル分の土地を隣地所有者と交換するというのが、土地の等価交換です。
交換する土地の価値が同じ(等価)なら費用は発生しないため、金銭的な負担を抑えられることがメリットです。
なお、隣地所有者との交渉時は「返報性の原理」を意識すると成功しやすくなります。これは相手から何かしてもらったとき、相手に対して「お返しがしたい」と感じる心理的傾向のことです。
例えば、再建築不可物件かどうか調べる土地測量で、隣地所有者に立会いを依頼し、測量後にお礼品を渡すと、相手に返報性の原理が働くので、等価交換に応じてくれる可能性も高まるでしょう。
セットバックを行なう
セットバックとは、自分の敷地を後退させて道路の幅を広げる方法です。敷地は狭くなってしまいますが、接道義務を満たして再建築可能な状態に変えることができます。
例えば、土地に接している道路の幅が3.5メートルの場合、0.5メートルのセットバックを行なえば、接道義務の要件である「幅4メートル以上」をクリアすることが可能です。
セットバックの工事には費用がかかりますが、一定の要件を満たすと自治体から補助金が支給されるケースもあります。また、セットバックを実施した敷地面積分の固定資産税は非課税になるため、節税につながることもメリットです。
ただし、セットバックの対象は、建築基準法で認められている以下の道路のみです。
● 2項道路
● 位置指定道路
● 協定道路
※ いずれも幅4メートル未満のもの
上記以外の道路だとセットバックが無意味になるので、事前に必ず確認しましょう。
道路の位置指定申請を行なう
道路の位置指定申請とは、建築基準法上の道路に指定されていなかった私道を、特定行政庁から新たに道路(位置指定道路)として認めてもらうことです。
位置指定道路の認可を受けるためには、以下のような要件を満たす必要があります。
● 幅4メートル以上
● 原則アスファルト舗装
● 道路勾配が12%以下で階段状ではない
● 道路の境界が明確である
● 道路に排水設備がある
● 両端がほかの道路と接続していて通り抜けできる(道路が35メートル以下なら行き止まりでも可)
● 私道の権利者から承諾を得ている など
細かい要件や手続き方法は自治体によって異なるため、事前確認が必須です。
救済措置を使わずに再建築不可物件を活用するには?
再建築不可物件には、建築基準法第43条ただし書申請をはじめとする救済措置があるため、それらを実施すると建物の建て直しもできるようになります。しかし、どの方法も準備や手続きに時間がかかるため、なかなか気軽に決断できないかもしれません。
そのような場合は、救済措置を使わずに再建築不可物件を活用する方法も検討してみましょう。以下で建物の状態別に活用方法の例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
◇倒壊の恐れがない物件
まず、建物の状態が良く、倒壊の恐れがない場合は、引き続き住居としての活用が選択肢に入ります。再建築不可物件だとしても、一定の要件を満たしていれば、リフォームして自分で住むのはもちろん、賃貸用の住宅として貸し出すことができます。物件の状態や周囲の環境次第では、収入源にすることも可能です。
なお、賃貸住宅としての運用を視野に入れる際は、定期的に発生する家の修繕費用や税金なども考慮し、収益が発生するかどうかを総合的に判断しましょう。賃貸住宅にすれば必ずしも収益が発生するわけではない点には注意してください。
◇倒壊の恐れがある物件
家の傷みが激しく、放っておくと倒壊してしまうリスクがある物件は、取り壊して土地として活用する手もあります。倒壊の危険があるほど古く傷んでいる家の改修は、新しく家を購入するのと変わらないほど費用がかかることもあり、更地にしたほうが活用しやすいかもしれません。
更地にしたあとの活用方法をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてください。
● 駐車場:月極駐車場やコインパーキングとして活用すれば、収入源にすることが可能
● 自動販売機:収入源となるうえ、導入・撤去が簡単
● コンテナハウス:倉庫やトランクルームとして貸し出し可能
● トレーラーハウス:一般的な住宅より安価で固定資産税もかからないため、幅広く活用可能
● 資材置き場:工場や工務店に貸し出し可能
● 家庭菜園:趣味で楽しむのはもちろん、レンタル菜園としても運用可能
土地だけでも、周辺の状況次第では資産として活用できることもあるので検討してみてください。
再建築不可物件は専門家に相談して解決するのもおすすめ
救済措置を利用する場合も、再建築不可のまま活用する場合も、手間や資金など少なからず負担がかかります。どの方法も難しい場合は、専門家に相談して売却する方法もあります。
通常、土地の売買は、不動産会社が売り主と買い主の仲介を行ないます。しかし、再建築不可の物件の場合、そのままでは住宅用地としての需要が低く、売れにくいという欠点があるため、再建築不可物件を専門とする業者への売却を検討しましょう。
専門業者に売却する最大のメリットは、土地の売却に付随する作業や手続きをまとめて任せられる点です。
専門業者に売却する最大のメリットは、土地の売却に付随する作業や手続きをまとめて任せることができる点です。
例えば、隣地との境界が明確でない場合は、確定のための測量や登記が必要ですし、古屋があれば取り壊しや残置物の処分もしなければなりません。こういった面倒な作業も、現金化とまとめて任せることができるのは、専門業者を利用する大きなメリットと言えるでしょう。
再建築不可物件でお悩みの場合は、専門業者の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
再建築不可物件は、そのままでは住宅用地として活用が難しい物件です。建築基準法第43条ただし書申請やセットバックといった救済措置を利用したり、賃貸住宅や駐車場として活用したりすることは可能ですが、いずれも手間と費用がかかるので、状況次第では実施できない可能性もあります。
時間がとれない、元手の資金がないという方は、専門業者への売却を検討してみるのも一つの手です。不動産会社に仲介を依頼して買い主を探す場合と比べて、現金化までに時間がかからず、要望によっては現況のままで売却できることもあります。
第一土地建物株式会社では、「訳アリ物件」の買い取りを専門的に行なっており、他社では断られてしまったような土地でも取り扱い実績があります。査定のみのご相談も歓迎していますので、お困りの方はぜひご相談ください。
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