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 再建築不可の市街化調整区域とは?メリット・デメリット、土地活用方法を紹介



記事公開日

最終更新日 2022年4月25日


 
市街化調整区域とは、市街化が抑制されている地域のことです。この地域では新築や改築には一定の制限が設けられているため、注意が必要です。
 
この記事では、再建築不可の市街化調整区域の概要やメリット・デメリット、土地の活用方法を詳しく解説していきます。
 
市街化調整区域に土地を所有している方や、市街化調整区域の土地を所有したい方は、ぜひ参考にしてください。
 

■再建築不可の市街化調整区域とは?

 
市街化調整区域は、都市化を抑制している地域のことを指しており、その概要は都市計画法に定められています。
 
市街化調整区域が定められた要因は、高度経済成長による都市部への人口集中です。
 
働く場所を求めて多くの人が都市に集まると、都心部から郊外へと無秩序かつ無計画な市街地の拡大が進み、インフラ整備が追いつかず、災害にも脆弱な都市になってしまいます。
 
このような現象をスプロール現象と呼びます。現象が深刻化すると、都市機能が低下するとともに、郊外にあった自然環境も守れません。
 
このような事態を防ぎ、安全な都市づくりを計画的に推進するため、市街化を抑制する市街化調整区域が設けられたのです。
 
市街化調整区域では、たとえ自分の土地であったとしても、自治体の許可がなければ自由に建物を建てることはできません。
 
また、市街化を抑制する市街化調整区域に対し、計画的に都市開発をしていく市街化区域というものもあります。
 
市街化調整区域と市街化区域の区域分けは、各都道府県が都市計画に定めています。建物を建設する場合は、その土地がどのような区分になるのか把握しておきましょう。

 

■市街化調整区域でも再建築は可能なのか?

 

 
基本的に、市街化調整区域では建物の再建築はできません。しかし、特定の条件を満たせば、新築や建て替え、リノベーションを行なえます。
 
市街化調整区域での開発には、都市計画法第34条による開発許可が必要です。
 
都市計画法第34条は、市街化調整区域における特例的な開発行為を定めた条項です。どのような場合に開発許可が認められるのかについて示されています。
 
開発行為をする場合は、土地の面積の大小に関わらず必ず許可申請が必要です。必要な手続きを忘れないよう注意しましょう。
 
新しく建物を建築する場合、市街化調整区域で需要のある以下のような建物であれば開発が許可されます。
 
・学校
・スーパーなどの店舗
・老人ホーム
・お寺
・幼稚園 など
 
建築許可には都市計画法による制限以外にも、自治体によって細かい制限が設けられている場合があります。開発許可がおりるかわからない場合は、各自治体の窓口へ問い合わせるようにしましょう。

 

■市街化調整区域のメリット・デメリット

市街化調整区域のメリットとデメリットを解説します。
 

◇メリット

 
市街化調整区域のメリットは3つあります。
 
1つ目は建物の建て替えなどが制限されているため土地の価格が安いことです。土地価格が安いため、同じ金額でも市街化区域よりも広い土地を購入できます。
 
土地開発には開発許可が必要なため、土地の利用目的に合わせ、許可をとりやすい場所を選ぶとよいでしょう。
 
2つ目は、市街化調整区域は畑や田んぼなどが多いため、騒音があまりないことです。市街化調整区域は市街化を抑制している地域のため、周囲に建物がない場合が多く、今後も大きな開発が進む可能性は低くなっています。
 
騒音の少ない自然の多い場所に住みたい場合、市街化調整区域は最適な場所だといえるでしょう。
 
3つ目は、土地の価格が比較的安いため固定資産税が安いことです。固定資産税の税額は、固定資産税評価額×1.4%で決定されています。固定資産税評価額は各自治体が個別に定めており、土地の時価の約70%が目安です。
 
市街化調整区域は都市計画税を支払う必要がありません。税金を安く抑えられる市街化調整区域なら、毎月かかる維持費を抑えられるため、余った費用で建物などに投資することもできるでしょう。
 

◇デメリット

 
続いて、市街化調整区域のデメリットを見ていきましょう。
 
1つ目は、土地の売却が難しいことです。土地開発に制限のある市街化調整区域では、土地の取り扱いが難しいため、土地の売却も難しい傾向にあります。
 
ただし、売却がまったくできないわけではありません。売却を検討する際には、市街化調整区域の売却実績のある不動産会社などへ相談するとよいでしょう。
 
2つ目は、生活インフラがあまり整っていないことです。都市開発を抑制している市街化調整区域では、電気やガスなどのインフラが整備されていません。
 
インフラが整っていない場合は自分で整備する必要があります。市街化調整区域で住宅などを建築する際は、それらの手間や費用をふまえて建築を検討しましょう。
 
3つ目は、自治体の助成金がおりない可能性があることです。
 
市街化調整区域は自治体が積極的に開発を進めている地域ではないため、自治体も開発のための助成金を積極的に出そうとは考えていません。
 
特に住宅に関する助成金は市街化区域に限定している場合があります。使える助成金がないか自治体に確認しておくとよいでしょう。

 

■市街化調整区域を有効活用しよう

 

 
建物の建築に難のある市街化調整区域は、建物を建てずに活用するのがおすすめです。ここでは、市街化調整区域の活用方法を2種類紹介します。
 

◇駐車場にする

 
駐車場なら建物を建てるわけではないため、市街化調整区域でも問題なく設置できます。更地に新しく駐車場を作るのも、既存宅地をリフォームして駐車場にするのもよいでしょう。
 
駐車場のメリットは初期費用がほぼかからないことです。舗装をせずに利用するのであれば施工費もほぼかからず、地面を整える必要がある場合でも、業者に委託すればそれほど費用と手間はかかりません。
 
施工にかかる費用は、舗装なしの場合で1,200円/㎡程度、アスファルト舗装で5,000円/㎡程度、コンクリート舗装で10,000円/㎡程度です。
施工会社によって費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。
 
駐車場の利用者を確保できれば、大きな収入源にもなります。空いている土地があれば、まずは駐車場としての利用から検討するのがよいでしょう。
 

◇太陽光発電を設置する

 
市街化調整区域での土地活用として、太陽光発電を設置する方法もあります。
 
駐車場同様に、太陽光発電も建物を建てるわけではないため、市街化調整区域でも開発許可は必要ありません。
 
郊外にあることが多い市街化調整区域は太陽光を遮るものが少なく、太陽光発電の設置条件に適しています。太陽光発電は設置後の管理もほぼ不要です。空いた土地を有効活用する方法として適しているといえるでしょう。

 

■まとめ

 
土地計画法に定められている市街化調整区域は市街化を抑制している区域を指し、ここでの新築や建て替え、リフォームには一定の制限があります。
 
市街化調整区域で土地開発を行なうには、都市計画法第34条の開発許可が必要です。開発許可の条件は厳しく、自治体によってさらに制限が定められている場合があるため、開発を希望する場合は自治体の窓口に相談するとよいでしょう。
 
市街化調整区域の再建築不可の物件の売却・買い取りなら、再建築不可物件の取り扱い実績の多い、「第一土地建物株式会社」への相談がおすすめです。再建築不可物件でお困りの方は、ぜひ一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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【著者】 岡村 岳 (第一土地建物 株式会社 代表取締役)

当サイトを運営する第一土地建物株式会社の代表取締役。1982年生まれ。

専修大学法学部卒、株式会社エイビスにてマンション販売事業・戸建仲介事業に従事し、長田商事株式会社を経て2016年に第一土地建物株式会社へ専務取締役として参画。2017年に代表取締役に就任。

関東近郊を中心として、さまざまな条件のついた流通の難しい不動産の扱いに専門知識を持ち、年間100件以上の再建築不可物件に携わる。



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