接道義務とセットバックとは?必要な費用や計算方法・注意点も紹介
記事公開日
最終更新日 2022年4月25日
都市計画区域・準都市計画区域内の土地は、建築基準法の基準にのっとり、道路に面していなければならない“接道義務”があります。接道義務に違反している場合、土地の“セットバック(後退)”が必要なケースがあるため、土地を購入する際は注意が必要です。
今回の記事では、土地に課される接道義務と、セットバックに必要な費用などについて解説します。
目次
■接道義務とセットバックとは?
まずは、そもそも“接道義務”とは何なのか?何のためにセットバックが必要なのか?という点を見ていきましょう。
◇接道義務とは
接道義務とは、建築基準法四十三条に定められている規定です。都市計画区域・準都市計画区域内の土地は、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりません。このルールは、災害時などに緊急車両がスムーズに通行できるよう、一定の道幅を確保する目的で設けられています。
接道義務に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。併せて参考にしてください。
接道義務とは?不動産購入で知っておきたい接道義務のイロハ
◇セットバックとは?なぜ必要なのか?
セットバックとは、道路側の敷地の一部を私道として提供し、土地の境界線を後退させることです。道路の幅を拡張することを目的に行ないます。
・セットバックが必要な“2項道路”
“幅4メートル以上の道路に2メートル以上接道する”というルールは、すべての土地が遵守できるわけではありません。都市計画法や建築基準法が適用される以前から存在する道路には、幅が4メートルに満たないものも少なくないからです。
これらの道路は “将来的に幅4メートルにする”ことを前提とし、例外的に建築基準法四十二条第2項で道路として認められています。これがいわゆる“みなし道路”“2項道路”です。
・セットバックにより接道義務を満たす
2項道路に面している土地は、セットバックにより接道義務を満たすことが可能です。ただし、道路として提供した敷地部分は宅地として利用できなくなります。そのため、住宅を建築する際は、実質的に敷地が狭くなります。
宅地や中古住宅の不動産広告では、しばしば“私道負担あり”と注意書きのある物件が存在します。これは、2項道路に面しているため、現在土地の一部が道路になっている、または建築時にセットバックが必要という意味です。
◇セットバックの幅の決め方と計算方法
私道負担でどの程度敷地を後退させれば良いかは、道路の状況によって以下のように異なります。
1. 道路を挟んで向かい合うように土地がある場合
道を挟むそれぞれの土地が敷地を後退させ、道路幅が4メートルになるようセットバックします。例えば、幅3メートルの道路の両側に家がある場合、一戸あたりのセットバック幅は以下のような計算になります。
4メートル(拡張後の道路幅)-3メートル(現在の道路幅)÷2=0.5メートル(各戸で負担する幅)
2. 道の片側が崖や水路などの場合
敷地の反対側に崖や水路がある場合、一方の土地だけで道路幅が4メートルになるようセットバックします。先ほどと同じく道路幅3メートルで計算した場合、以下のようになります。
4メートル(拡張後の道路幅)-3メートル(現在の道路幅)=1メートル(後退距離)
なお、上記はあくまで一例です。実際に敷地をセットバックさせる場合、事前に市町村の管轄課に距離を確認しましょう。
■【接道義務】セットバックした土地の権利について
敷地をセットバックするにあたり気になるのが、私道として提供する部分の権利関係です。
結論からいうと、セットバックして私道となる部分も、所有は個人のままとなり、固定資産税などの税金も発生します。ただし、あくまでも道路として提供するため、私物の保管や垣根など設備の設置はできません。
■セットバックに必要な費用
土地のセットバックに必要な費用は、原則として全額所有者の負担です。自治体によっては費用の補助を受けられるところもあるため、必要に応じて利用してみましょう。
◇セットバックの費用相場
セットバックには、おおむね以下の費用が発生します。
敷地のうち私道とする部分の工事費(舗装など)
土地の境界を確定するための土地測量費
新たに発生する宅地部分と私道部分の登記費用(分筆登記)
費用がどの程度かかるかは、土地の状況によって異なります。目安として、隣地との境界が未確定な場合は測量費が発生するため、費用はやや割高です。この場合はおおむね50万円から80万円程度を見込んでおきましょう。
一方、すでに境界が確定しているのであれば、費用は安く済みます。この場合は30万円程度が一般的です。
◇固定資産税は高くなる?
セットバックした土地はあくまで個人の所有物のため、固定資産税がかかります。
ただし、セットバック後に自治体に申請し、公衆用道路として認定された場合は非課税となります。この場合、登記簿上の土地の地目は“宅地”ではなく“公衆用道路”です。
申請手続きに関しては、各自治体の道路管理担当課に相談してみてください。
■セットバックが必要な物件を購入する際の注意点3つ
セットバックが必要となる物件を購入する際には、いくつか気を付けたい点があります。具体的な注意点を、3つ紹介します。
◇セットバック後の有効面積を調査しておく
敷地をセットバックすると、道路として提供した部分は宅地として利用できません。建物の大きさの上限は、建ぺい率・容積率ともに「土地の面積の〇〇%」と決まります。セットバック後の面積は建てられる家の大きさに直結するため、あらかじめ把握しておきましょう。
なお、2項道路に面している土地で、新たに住宅を建てたいのであれば、セットバックを拒否することはできません。セットバックしなければ建築確認申請に通らないため注意してください。
◇売却リスクが高いことを認識しておく
セットバックが必要な土地は、通常の物件と比べて買い手が付きにくくなります。建て替えの際に土地が狭くなるためです。
また、私道として提供する部分は、宅地に付属してはいるものの、それ自体は活用できないため、ほとんど価値がないと考えられることも多くあります。そのため、売却時の価格は通常物件と比較して安くなる傾向にあります。
◇購入後は早めにセットバックする
セットバックが必要な物件を購入した場合、早めに工事しましょう。
住宅の建て替えをしないのであれば、セットバックの義務はありません。しかし、前面道路の幅員が不足していると、救急車両の侵入が困難になるなど、防災面でのリスクを抱えます。
先述のように自治体の補助金を利用できる場合もあるので、ぜひうまく活用してみてください。
■まとめ
幅員4メートル未満の道路に面する土地は、セットバック(敷地を後退)させることで接道義務を満たすことができます。ただし、工事や登記にかかる費用は自己負担であり、自治体に申請しない限り、道路部分の土地の税金も免除されません。
なるべく早くセットバックすることが望ましいのですが、土地を現在利用していない場合、土地のために費用を捻出できないことも多いものです。こういった場合は売却も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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