再建築不可物件とは?購入のメリット・デメリットやリフォーム可能範囲について解説
記事公開日
最終更新日 2023年10月26日
「再建築不可物件を所有している」あるいは「購入を検討している土地や建物が再建築不可物件でどうしようか迷っている」という方もいるでしょう。
再建築不可物件とは、建物を新たに建てたり建て替えたりすることのできない 土地のことです 。再建築不可物件の売買は専門的なノウハウが必要とされるため、一般的な物件に比べて難易度が高いといえます。
今回は、再建築不可物件とはどのような物件か、購入するメリット・デメリットはどのような点にあるのかを解説。売買時のポイントとリフォーム可能な範囲についても紹介します。
目次
再建築不可物件とは
そもそも再建築不可物件とはどのような物件のことを指すのでしょうか。はじめに、再建築不可物件の概要と、再建築不可物件に深くかかわる「接道義務」について詳しく解説します。
再建築不可物件とは新たに家を建てられない土地のこと
再建築不可物件とは、建物の建て替えができない物件のことです。これらの物件では、既存の建物を取り壊して更地にしてからの建て直し、延べ床面積を増やす増築、建物の構造を変える改築といった工事が規制されます。
再建築不可物件の建て替えができないのは、建築物の工事に必要な「建築確認申請」という行政手続きで許可を得られないためです。裏を返せば、建築確認申請の必要ない範囲であれば、再建築不可物件でも工事ができます。
建物が再建築不可とされる要因としてよく見られるのが、接道義務違反の土地に立っているケース です。接道義務とは「建築基準法において定められた道路に2メートル以上接していなくてはならない」 という決まりのこと で、建築基準法や都市計画法といった関連法規が制定される前に建てられた物件は、ほとんどの場合において再建築不可物件といえます。
どのような土地が再建築不可となるのか?
接道義務違反で再建築不可となるのは、次に挙げる3つのいずれかに該当する土地です。
- ① 建築基準法に定められた道路に接していない場合(袋地)
- ② 土地が面する通路が建築基準法に定められた道路でない場合
- ③ 建築基準法に定められた道路に接する道幅が2メートル未満の場合
なお、建築基準法が規定する「道路」は、基本的に幅員を原則4メートル以上 としていますが、第42条第2項 において、特定行政庁の指定したものであれば4メートル未満でも例外的に道路としてみなす としています。これが「みなし道路」もしくは「2項道路」と呼ばれる ものです。 2項道路に面する土地は、道路と土地の境界線を道路の中心などから2メートル以上が確保できる位置まで後退させるセットバックを行なえば接道義務を満たしているとされます。
セットバックについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
接道義務とセットバックとは?必要な費用や計算方法・注意点も紹介
接道義務が定められているのは、都市計画法によって都市計画区域や準都市計画区域に指定されているエリアだけ です。安全に整備された街づくりの観点から、緊急車両の出入りを確保する 目的でこのようなルールが定められています。
なぜ再建築不可物件が存在するのか?
一般的に、古い建物であればあるほど、再建築不可物件である可能性が高くなります。では、なぜ法律違反の建物が存在しているのでしょうか。
再建築不可物件は、すでに廃止されている「現行法以前のルール」に則って建築された建物です。建築基準法が制定されたのは1950年(昭和25年) で、都市計画法は1968年(昭和43年) のため、それ以前に建築された建物は接道義務を満たしていないとして再建築不可の可能性が高くなります。
ちなみに、このような建物は「既存不適格物件」といわれ、単なる建築基準法違反の建物である違法建築物とは区別されます。
「昔は今とは法律が違ったため、古い建物は現行の基準では再建築できないことがある」と覚えておきましょう。
再建築不可物件を購入するメリット・デメリット
再建築不可物件は、建物の建て替えができないことから、買い手に敬遠されやすい物件ですが、メリットも存在します。ここでは、再建築不可物件のメリットとデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
メリット
再建築不可物件のメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
・1. 評価額が低いため税金を抑えられる
再建築不可物件は建て直しができないことから、通常の物件と比較して税金の評価額が安くなります。評価額が低ければ、固定資産税 や相続税を安く抑えることが可能です。
・2. 投資用物件としての利回りが高い
再建築不可物件は、投資用物件としての利回りが高くなるという特徴があります。これは、購入価格に対して得られる家賃が高いためです。
再建築不可物件の市場価格は、通常物件の5割から7割 といわれていますが、賃貸用物件として運用した場合、借り主は物件が再建築不可かどうかはさほど気にしないため、貸し主は相場に近い家賃収入を得ることができます。
なお、賃貸用物件にする場合は、リフォームやリノベーションが必須となることが多いため、工事費用も計算に入れたうえで、利益を出せるかどうかをシミュレーションすることが大切です。
・3. 更地にして運用できる
住宅としての活用が難しいのであれば、更地にして運用することも視野に入れましょう。土地の立地や形状にもよりますが、さまざまな用途に利用可能です。
【再建築不可物件を更地にしたあとの用途例】
- 自動販売機を設置する
- イベント用広場として貸し出しを行なう
- 駐車場や駐輪場を経営する
- 資材置き場として運用する
このように、住宅として使う以外にも活用方法はあるという点を覚えておいてください。
デメリット
再建築不可物件は、その性質上デメリットも存在します。代表的なのは「建て直しができない」「建物が古い」の2点です。
・1. 建物が倒壊しても建て直しができない
再建築不可物件を購入する際の一番の懸念点は、万が一、災害で倒壊しても建て直しができない ことです。
屋根や柱など建物の主要部が無事であれば、修繕という形で工事ができることもありますが、完全に倒壊すると、再建築できる土地にしない限り、再度住宅として利用することは不可能になってしまいます。
・2. 建物が古くメンテナンス費用がかさむ
戸建てを購入した場合、賃貸物件とは異なり家賃はかかりませんが、定期的にメンテナンス費用が発生します。再建築不可物件は建物が古いことが多く、修繕費が高額 になる傾向にあります。大規模なリノベーションで建物を新築同様にする際も、高額なリノベーション費用が必要なため、負担は大きくなるでしょう。
再建築不可物件を購入する際は、リノベーション済みの物件や状態の良い建物を選ぶのがおすすめです。
再建築不可物件を売却する際のポイント
再建築不可物件の所有者のなかには、売却して現金化することを検討している方もいるでしょう。売却の際はどのような点に注意すればよいのか、3つのポイントに分けて解説します。
1. 再建築可能にして資産価値を高める
再建築不可の土地は、周囲の状況や土地の形状によっては再建築可能な土地に変えることができます。再建築が可能になれば資産価値が高まり、相場と同じ価格での売却が可能です。
再建築可能な土地にするには、「セットバック」をはじめ、いくつか方法があります。費用や手間がどのくらいかかるのか、再建築可能にした際の物件の価格はどの程度上昇するか、などを比較したうえで検討してみましょう。
2. 再建築不可物件の専門業者に売る
再建築不可の土地は、再建築不可のままでも売却可能です。ただし、一般的な買取業者への売却は難しいため、専門業者に売却しましょう。
再建築不可物件の価値を正しく評価することは難しく、相応のノウハウと経験が必要です。通常物件を中心に取り扱う買取業者だと、価格を安く見積もられるリスクがあります。
業者を選ぶ際は、再建築不可物件の取り扱い実績が豊富な専門業者を検討するとよいでしょう。
第一土地建物は、年間数十~百件近く の再建築不可物件や既存不適格の物件に携わってきた再建築不可物件の専門家です。再建築不可物件の買取実績も豊富なので安心して売却できます。
第一土地建物 再建築不可物件の買取実績
◇3. 現状のまま買い取りできる業者に絞る
現状のままで売却が可能かどうかも、業者選びの大切なポイントです。
再建築不可物件のなかには「残置物がある」「隣地との境界が未確定」など、問題を抱えた物件も多く存在します。所有者が自力で解決できれば良いのですが、遠方に住んでいる場合や費用を捻出できない場合は、手間や費用を最小限に抑えて売却できるほうが望ましいでしょう。
買取業者のなかには、問題を抱えたままでも買い取りしてくれる業者もあるため、その点を重視して絞り込む のがおすすめです。
再建築不可物件のリフォーム可能範囲とは?
基本的に再建築不可物件は築古のため、多くはリフォームを前提とした購入でしょう。再建築不可物件をリフォームする際に気を付けたいのが、リフォーム内容に制限がかかる可能性がある点です。具体的には、建築確認検査が不要な工事のみリフォームが可能となります。
なお、建築確認検査とは、建築計画が建築基準関係法規に沿っているかどうか、着工前に確認する検査のことです。都道府県や市町村に置かれる建築主事や指定確認機関によってチェックされます。
建築確認検査が不要なのは、建築基準法第6条第1項第4号 で規定される「4号建築物」と呼ばれる以下に該当する建物です。
木造建築物で、「2階建て以下」「高さ13メートル以下」「軒高9メートル以下」「延べ床面積500平方メートル以下」をすべて満たすもの
ただし、特殊建築物の用途(共同住宅、店舗、集会場、車庫、物置等)で200平方メートルを超えるものを除く
木造以外の建築物で「平屋」かつ「延べ床面積200平方メートル以下 」のもの
また、条件によっては4号建築物以外の再建築不可物件でもリフォームが可能になるケースもあります。可能なリフォームの例は、以下のとおりです。
水回り設備の更新
フローリングの張り替え、壁クロスの貼り替え
防火地域・準防火地域の範囲外における10平方メートル以内の増築
再建築不可物件を購入する際のポイント
再建築不可物件にはメリットもありますが、問題を抱えていることも多いため、物件選びは慎重に行なう必要があります。購入を検討する際に注意すべき3つのポイントを押さえておきましょう。
1. 建物の状態をしっかりと確認する
再建築不可物件の建物は古いものが多いため、一見きれいであっても内部の損傷が激しいことがあります。なかにはシロアリにより柱が浸食されている物件も存在するため、建物の状態はしっかりと確認 しましょう。購入前に売り主に修繕履歴を確認したり、専門家と一緒に建物をチェックしたりすることをおすすめします。
2. 風通しの良さ、インフラの状況、周囲の環境なども確認する
再建築不可物件は通常物件と比較して価格は安いのですが、住居として利用するなら「安かろう悪かろう」では意味がありません。検討中の物件が、生活の場としてふさわしいかもチェックする必要があります。なかでも「風通しが良く湿気が溜まりにくいか」「電気や水道などインフラは問題なく使えるか」「住みやすい周辺環境か」 などは最低限確認しておきましょう。
3. 住宅ローンを利用できるのか確認する
住宅ローンを利用できる物件か どうかも必ず確認しましょう。再建築不可物件は金融機関での担保評価が低いことが多く、ローン契約を断られることも珍しくありません。住宅ローンが組めない場合は、現金一括での購入を視野に入れる必要があります。
ただし、立地が良い場合や、リフォーム直後で建物の状態が良好な場合などは、例外的にローンの借り入れが可能なこともあります。事前に金融機関に相談し、ローンの利用可否を確認しましょう。
まとめ
今回解説してきた内容のポイントをまとめると次のとおりです。
- 再建築不可物件とは新たに建物を建てられない土地のこと
- 接道義務に違反する土地は再建築不可となる
- 再建築不可物件は税金が抑えられるなどのメリットがある一方、デメリットも多い
- 再建築不可物件では建築確認検査が必要なリフォームは原則不可
- ノウハウが必要とされる再建築不可物件の売却は専門業者に依頼するのがおすすめ
第一土地建物は、再建築不可物件をはじめとした訳アリ物件を専門とする不動産会社です。全国で年間数十~百件近くの物件に携わっており、再建築不可物件に関する経験や知識も豊富にあります。再建築不可物件の売買を検討されている方は、ぜひ第一土地建物へお気軽にご相談ください。
年間100件以上を扱う第一土地建物なら、お客様のご要望に応じた買取プランをご用意いたします。
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