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 水路に接する土地を購入する前に!押さえておきたいポイントと売却方法



記事公開日

最終更新日 2022年4月25日

 

水路に面する土地は全国に点在しており、都市部でもしばしば目にします。しかし、敷地が水路に接していると建物の建築が制限されるなど、思わぬデメリットをはらんでいることも。

そのため、水路に面する土地を購入する際は、土地の使い勝手や将来的な売却方法も意識した、総合的な評価が必要です。

 

この記事では、水路に面した土地特有の問題と、売却時のポイントを紹介します。

 

■まずは水路について知ろう

水路に面した土地はさほど珍しいものではありません。では、水路とはどのような場所を指すものなのでしょうか。

 

◇そもそも水路とは?

水路とは「法定河川(一級河川・二級河川など)を除く普通河川」のことで、川のなかでも生活のために作られたものの総称です。私たちが目にする側溝や農業用のため池、排水路などはすべて水路に該当します。

 

もともとは住宅街にも多くの水路がありましたが、土地開発により柵やフタを設けられているものも多くなりました。地下に整備された水路や、フタで見えないようになっている水路は“暗渠(あんきょ)”と呼ばれます。

 

◇街のあちこちに水路跡があった!

現在の住宅街にも川や水路の跡は多く残っています。例えば、以下のような特徴のある場所は、以前水路だった可能性があります。

 

【もともと水路だった場所の特徴】
 細長い緑道や遊歩道
 幅が広くとられている歩道
 一見無意味に見える段差や階段に面した道
 タイルや石を敷き詰めた道

 

水路だった部分は、ブロックを敷き詰めて橋のようにフタがされている、道路の半分だけ色が違うといった特徴が見られることもあります。土地を購入する際は、このような点にも着目してみてください。

 

■水路に接する土地の購入は建築に制限がかかる場合がある

水路に接する土地の購入を考える際、知っておかなければならないのが“建築に制限がかかる可能性がある”という点です。住宅用地としての価値にも大きく影響するため、必ず確認しておきましょう。具体的には、以下のような制限が考えられます。

 

◇新しく建物を建築できない場合がある

敷地と前面道路の間に水路がある場合、その土地は建築基準法上の接道義務を満たしていません。

 

建築基準法では、都市計画区域・準都市計画区域内の土地は“幅4メートル以上の道路に2メートル以上”接している必要があります。これが建築基準法上の接道義務です。

 

水路に面しているままでは接道義務を満たせないため、土地に新しく建物を建てることができない場合があります。

 

ただし、水路が外から見てわかる“開渠(かいきょ)”ではなく、“暗渠(あんきょ)”の場合、道路の一部として扱うことが一般的です。

暗渠は一見して水路とわからないことも多いため、公図の確認や自治体の道路管理関連部署への問い合わせで確認するとよいでしょう。

 

◇既存の建物を再建築できない場合がある

すでに建物が建っている土地なら安心かというと、そうともいえません。建築基準法の施行前にできた建物は、法律に適合していなくても、特例として存在を許されている“既存不適格物件”の可能性があるのです。

 

水路によって道路と隔てられている既存不適格物件は、建物の取り壊しや大規模な改修工事を制限されていることがあります。そのため、住宅用地としては非常に使い勝手が悪く、売れにくい物件の一つです。自分で判断がつかない場合は、こちらも自治体への問い合わせや公図による確認をしましょう。

 

■水路に接する土地の災害時のデメリット

 

水路に面する土地のもう1つのデメリットが、災害に弱いという点です。購入を検討する際はこの点も忘れずにチェックしましょう。具体例には、次のような危険性があります。

 

◇地盤沈下のおそれ

水路に接する住宅用地は地盤が弱い傾向にあり、地盤沈下の可能性があります。これは土地に含まれる水分量が多く、地面がもろいためです。

 

地盤がもろいと、地震の際に液状化現象で家が沈んだり、傾いた末に倒れたりするリスクがあります。

 

軟弱な地盤に対しては、地盤改良工事を行なうことで強度の向上が可能です。ただし、地盤改良工事には100万円以上の費用がかかることも珍しくありません。地盤改良の費用によっては、他の物件を選んだほうが安いケースも多いでしょう。

 

◇浸水被害に遭うおそれ

水路は河川とつながっていることが多く、豪雨などで水量が増加すると水があふれる危険性があります。水路からあふれた水は住居に流れ込み、床下や床上まで浸水することも考えられるでしょう。

 

水路に接する土地を購入する際は、梅雨の時期や過去の豪雨で被害がなかったか確認することをおすすめします。

 

■水路に接する土地を売るには?

水路に面した土地はデメリットが多く、そのままでは売却できない場合や、非常に安価での売却となる可能性があります。なるべく良い条件で売却するにはどうすればよいのでしょうか。

 

◇居住用以外の土地として売却する

買い手が限られますが、居住用以外の土地として売る方法があります。例えば、車が入れられるのであれば、駐車場や資材置き場としての需要も考えられます。

 

田畑の近くであれば、物置スペースや農業器具置き場として売却できる可能性もあるでしょう。また、地目変更登記が必要となりますが、耕してしまえば農地としての売買も可能です。

 

なお、農地として売却する場合は、土地を耕して“現況農地”とする必要があります。整地したままだと農地としては売れないため、土地の需要を見越したうえで最適な売却方法を検討しましょう。

 

◇水路の占用許可をとって売却する

土地と前面道路が、明らかに水路とわかる“開渠(かいきょ)”で隔てられている場合、水路に幅2メートル以上の橋を架けて道路とつなげ、接道義務を満たす方法があります。

 

ただし、水路に橋を架けるには“水路の占用許可”の申請手続きが必要です。自治体によっては占用料が必要な場合もあるため、お住まいの地域の管轄課に問い合わせてみてください。

 

・売却時の占用許可の引継ぎ

土地を売却する際には、買い手へ占用許可の引継ぎが可能か確認する必要があります。対応は自治体によって異なりますが、事前の申請によって承継や名義変更が可能なケースが大半です。売却前に、占用許可の継承手続きについて確認することで、売却後の無用なトラブルを防止できるでしょう。

 

・占用許可取得後の建築条件の確認

水路に橋を架けて接道義務を満たした場合でも、通常の住宅用地と比較して、建築条件が制限されるケースがあります。建ぺい率や容積率の上限が低く設定されるなど、土地の価値に関わる制限を受けている場合もあり、注意が必要です。

 

売買する前に、仲介を担当している不動産会社に詳細な建築条件を確認するようにしましょう。

 

■まとめ

水路に接した土地は、建物の建築が制限される・災害への対策が必要など問題を抱えているケースが多くあります。購入してから後悔しないよう、土地の持つリスクをあらかじめ知っておきましょう。

 

売却を考える際も、そのリスクから敬遠されやすく売りにくい土地といえます。いくつか売却方法は考えられますが、おすすめは不動産会社の買取サービスを利用することです。

 

第一土地建物は、再建築不可物件など、買い手がつきにくい訳あり不動産のプロフェッショナルです。水路に面している、売却の難しい土地も適正価格にて査定いたします。
査定から買取まで一貫してサポートするので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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【著者】 岡村 岳 (第一土地建物 株式会社 代表取締役)

当サイトを運営する第一土地建物株式会社の代表取締役。1982年生まれ。

専修大学法学部卒、株式会社エイビスにてマンション販売事業・戸建仲介事業に従事し、長田商事株式会社を経て2016年に第一土地建物株式会社へ専務取締役として参画。2017年に代表取締役に就任。

関東近郊を中心として、さまざまな条件のついた流通の難しい不動産の扱いに専門知識を持ち、年間100件以上の再建築不可物件に携わる。



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